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【まずはこの1枚】ジャズの名盤。必聴のアルバムセレクション

ジャズという音楽ジャンルに対して、皆さまはどのような印象をお持ちでしょうか?

何となくオシャレ、もしくは敷居が高そうといったイメージがあるかもしれませんね。

多くのサブ・ジャンルも存在するジャズの歴史は簡単に語れるものではありませんし、もちろん古い時代だけの音楽というわけでもないのです。

今回は、興味はあるけど何から聴いていいのか分からないといった方に向けて、まずはこの1枚、といったジャズ史に残るスタンダードな名盤の数々をピックアップしてみました。

ぜひ、チェックしてみてくださいね!

もくじ

【まずはこの1枚】ジャズの名盤。必聴のアルバムセレクション(1〜20)

The Scene Changes

Cleopatra’s DreamBud Powell

昔のジャズ・ミュージシャンは優れた才能を持ちながらも、私生活においてさまざまな問題を抱えているアーティストも多く、いわゆるビバップスタイルの第一人者と呼ばれるジャズ・ピアニストのバド・パウエルさんもその1人です。

誰もが認める天才的なピアニストであり、作曲家としても素晴らしい名曲を生み出したパウエルさんは、活動初期からその将来性を高く評価され、才能に見合った優れた録音を残しましたが、健康上の問題などからアルコールなどに溺れてしまいます。

そういった経緯もあり、全盛期と呼ばれる時期は1940年代後半から1950年代初期にかけての録音なのですが、ここでは名門ブルーノート・レコードより1958年にリリースされた『The Scene Changes: The Amazing Bud Powell (Vol. 5)』を紹介します。

何はともあれ、日本では『クレオパトラの夢』という邦題で圧倒的な知名度と人気を誇る『Cleopatra’s Dream』が素晴らしく、ジャズ史に残る名曲として一度は聴いておくべき楽曲と言えるのですね。

ちなみに曲の中で聞こえるハミングやうめき声は、パウエルさん本人のもの。

まずはこの曲からパウエルさんの魅力を知り、他の名盤を手にするきっかけとしてみてはいかがでしょうか。

Maiden Voyage

Maiden VoyageHerbie Hancock

1960年に若干20歳でプロとして活動を始めたハービー・ハンコックさんは、才能あるジャズ・ピアニストでありながら、自身の楽曲『カメレオン』というタイトルそのままの柔軟な姿勢で、長い活動歴の中でさまざまなスタイルに挑戦し続ける鬼才アーティストです。

名門ブルーノート・レコードからデビューを果たしながらも、ジャズ・ファンクやフュージョンの先駆け的な作品を作り上げ、1980年代には早くもヒップホップの方法論を取り入れるなど、時代の変化とともに自身の音楽性も次々と変化させ、芸術性と商業的な成果を両立させた偉大な存在なのです。

そんなハンコックさんのディスコグラフィの中から1枚を選ぶのは難しいですが、ここでは1960年代当時の「新主流派ジャズ」の名盤として名高い、1965年リリースの『Maiden Voyage』を取り上げます。

『処女航海』という邦題でも知られている本作は、マイルス・デイヴィスさんのバンドとして切磋琢磨していたメンバーが集結し、タイトル通り「航海」をテーマとしたコンセプチュアルなアルバムとなっています。

抑制の効いた知的なアンサンブルは統一感があり、印象的なメロディの数々は雄大で詩情豊かな響きを持ち合わせております。

1人で過ごす夜、この作品を聴きながら物思いにふけってみるのもいいですね。

The Famous 1938 Carnegie Hall Jazz Concert

Sing, Sing, Sing (With a Swing)Benny Goodman

いわゆる戦前ジャズとも呼ばれ、1930年代から1940年代初頭にかけてブームを巻き越した「スウィング・ジャズ」を聴いてみたい、という方であれば押さえていただきたいアーティストが、アメリカ出身のクラリネット奏者にしてバンド・リーダーとして著名なベニー・グッドマンさんです。

彼の人生は1955年に公開された映画『ベニイ・グッドマン物語』で描かれるなど、グッドマンさんはジャズの歴史を語る上では欠かせない存在の1人。

イントロのドラムが強烈なインパクトを残す『シング・シング・シング』など、彼の楽団が演奏した楽曲は現在においても吹奏楽の代表的な名曲として愛され続けていますよね。

こちらの『The Famous 1938 Carnegie Hall Jazz Concert』は、タイトル通り1938年に行われたグッドマンさんの楽団によるカーネギー・ホールの公演を記録したもの。

クラシックの殿堂であるカーネギー・ホールにおいて、初めてのジャズ・コンサートだったという歴史的な公演でもあります。

さすがに古い録音ですし、スクラッチ・ノイズも残っておりますが、それがまたいい味となっているのですね。

古き良きジャズを楽しみたい方は、ぜひ。

Speak No Evil

Speak No EvilWayne Shorter

日本では三猿でおなじみの「見ざる言わざる聞かざる」ということわざから引用されたタイトルが、なんともカッコいいですね。

アメリカはニュージャージー州出身のテナーサックス・ソプラノサックス奏者、ウェイン・ショーターさんが1964年にソロ名義でリリースした通算3枚目のアルバム『Speak No Evil』です。

ショーターさんはアート・ブレイキーさんのジャズ・メッセンジャーズやマイルス・デイヴィスのクインテットへの参加、フュージョンの元祖的存在のウェザー・リポートを結成するなど、ジャズの歴史において素晴らしい足跡を残す偉大な存在。

ジャズ・メッセンジャーズ時代に来日も果たしており、ここ日本でも人気の高いジャズ・ミュージシャンですよね。

本作は、そんなショーターさんのどこか陰りを帯びたミステリアスな魅力が存分に発揮されたモード・ジャズの逸品であり、初期の代表作と呼ばれる名盤です。

当時のショーターさんが関心を持っていたという黒魔術などをテーマとして、新主流派らしい意欲的なアプローチながらもメロディは美しく聴きやすい。

真夜中のベッドルームで1人、聴きたくなる音ですね。

ちなみにジャケットの女性は、当時のショーターさんの奥さまである日系アメリカ人のテルカ・アイリーン・ナカガミさんです!

Charlie Parker With Strings

Just FriendsCharlie Parker

Charlie Parker with Strings – Just Friends
Just FriendsCharlie Parker

「バード」という愛称でも知られているチャーリー・パーカーさんは、1940年代の初頭に生まれたモダン・ジャズの原型であるビバップというスタイルを作り上げた第一人者であり、世界中のジャズ・ファンから敬意を込めて「モダン・ジャズの父」とも呼ばれる伝説的なアルトサックス奏者です。

残念ながら私生活のパーカーさんはあまり品行方正とは言えず、荒んだ日常を過ごして34歳という若さで亡くなってしまっておりますが、彼が残した音楽的な功績はジャズの歴史において計り知れないものがあります。

無頼のジャズ好きで知られ、ジャズ・ミュージシャンのドキュメンタリー映画をいくつかものにしているクリント・イーストウッドさんも、パーカーさんを取り上げた1988年の映画「バード」で製作と監督を務めておりますね。

そんな偉大な存在であるパーカーさんが、1947年から1952年の間に残した音源を2枚組としてまとめた『Charlie Parker With Strings』を紹介します。

タイトル通りオーケストラの共演盤で、レトロな空気が漂う甘いストリングス・サウンドの中で、抜群の存在感を見せるパーカーさんのアルトはあまりにも美しいですね。

ロマンティックな気分でアルト・サックスの音色を楽しみたい、という方はぜひ手に取ってみてください。

Quiet Kenny

Lotus BlossomKenny Dorham

Kenny Dorham Quartet – Lotus Blossom
Lotus BlossomKenny Dorham

『QUIET KENNY』というアルバム・タイトルと渋いジャケットが、最高にダンディかつクールです。

テキサス出身、いわゆるビバップ期におけるジャズ・トランペットの代表的なプレイヤーの1人であるケニー・ドーハムさんは、ここ日本のジャズ・ファンの間でも非常に人気のあるジャズメンです。

名ドラマー、アート・ブレイキーさん率いるジャズ・メッセンジャーズのメンバーとして活動していた時期もあり、リーダーとしてもサイドマンとしてもいぶし銀の活躍を見せたトランペット奏者ですね。

冒頭で触れた作品は、日本では『静かなるケニー』という邦題でも知られるドーハムさんの代表作です。

ワン・ホーン・カルテットで形成されたバンドが織り成すアンサンブルは、圧巻のテクニックやアドリブよりも楽曲それぞれの持つ空気感のようなものを作り上げるために機能しており、ジャケットそのままの哀愁を帯びたメロディと男の色気が聴いていて最高にクールです。

オリジナル曲の素晴らしさも特筆もので、作曲家としてのドーハムさんの才能が遺憾なく発揮された1枚と言えるでしょう。

大人の音楽としてのジャズを聴いてみたい、なんていう方にもオススメの逸品です!