ファンクな気分~ファンク・ミュージックの過去と今
実際に音楽ジャンルとしてのファンクを聴いていなくても、ファンキーなといった形容詞を無意識に使われている方は多くいらっしゃいますよね。
言葉としては日常生活に浸透しているファンクに対して、皆さんはどのようなイメージを持たれていますか?
1960年代にその原型が生まれたとされるファンクは、形を変えながら多くのヒット曲の要素として2020年代の今も愛され続けているのです。
今回は、ファンクの基本的な名曲からディスコ、メロウ・グルーヴ、現代のファンクにいたるまで多くの名曲をお届けします。
あなたの中に眠るファンクネスを呼び覚ます、運命の名曲に出会えるかもしれません!
ファンクな気分~ファンク・ミュージックの過去と今(1〜10)
PlaygroundSteve Lacy

2010年代以降のオルタナティブR&Bの先駆的な存在であり、シーンをリードするTHE INTERNETのギタリストを務める1998年生まれのギタリスト、スティーヴ・レイシーさん。
その才能はギターのみならず、シンガーソングライターとしてもプロデューサーとしても幅広い活躍を見せており、若き天才として大いに期待されている存在ですよね。
そんなレイシーさんが2019年に満を持してリリースした初のソロ・アルバム『Apollo XXI』に収録されている『Playground』は、イントロの強烈なスラップ・ベースからして最高にファンキーな名曲です!
軽やかなカッティング・ギター、プリンスのようなファルセット・ボーカルも最高ですね。
抜群にキャッチーでありながらもベッドルーム・ポップのような内省的な雰囲気があり、ややサイケデリックな音響的実験も盛り込まれ、単なるファンク・ナンバーに留まらないレイシーさんの末恐ろしい才能を存分に味わえる楽曲となっております!
TreasureBruno Mars

ブルーノ・マーズさんと言えば、2010年代以降を代表するトップ・クラスのシンガーソングライターです。
同時に、1980年代のファンク・サウンドを現代的な形でよみがえらせてヒット曲の方程式に組み込んだ先駆的な存在の1人、という意味での功績も見逃せませんよね。
同じく最高峰のヒットメイカーにして音楽プロデューサーのマーク・ロンソンさんと組んだ、2014年の『Uptown Funk』を思い出される方も多くいるでしょう。
実はブルーノさんが2012年にリリースしたセカンド作『Unorthodox Jukebox』の時点で、ファンク的な要素を持ったレトロでポップなディスコ・チューン『Treasure』をヒットさせているのですよね。
まさに80年代を意識したような、眩しいくらいにキラキラした照明の下で大所帯のバンドとともに熱唱するブルーノさんが最高にカッコいいMVも合わせてチェックしてください!
Get Up(I Feel Like Being)A Sex MachineJames Brown

そもそもファンク・ミュージックは、1960年代にミスター・ダイナマイト ファンクことジェームス・ブラウンさんが自身のバンドとともに作り上げたサウンドがその原型を形成した、と言われています。
つまり、ファンクを知りたければまず聴くべきは帝王JBの魂に触れるべき、と言うべきかもしれませんね。
ジェームスさんの代表曲の1つである『Get Up(I Feel Like Being)A Sex Machine』は、後にJBズと呼ばれることとなるバンドが繰り出す腰に響く強烈なグルーブ、ジェームスさんが放つ大迫力のシャウトがカッコいいとしか言いようのない名曲中の名曲です。
間奏のリズミカルに弾けるようなピアノもジェームスさん自身の手によるもので、まさにファンキーという言葉そのものといった趣。
耳ではなく体で聴いて感じるべき音楽です!
King JamesAnderson .Paak

2021年、ブルーノ・マーズさんと組んだユニットSILK SONICが話題沸騰のアンダーソン・パークさん。
シンガーソングライターとしても、プロデューサーとしても引っ張りだこの人気者なアンダーソンさんが2019年にリリースした『King James』は、ファンキーさとジャジーさとが同居したグルーブが最高に気持ちいい名曲です。
同年に発表された通算4枚目のアルバム『Ventura』に収録されており、タイトルはロサンゼルス・レイカーズ所属のNBA選手レブロン・ジェームズさんのことなのですね。
社会的な発言も多く、慈善活動にも積極的なジェームズさんの姿を描きながら、ポジティブなメッセージが込められた歌詞を読めば、リスナーに一歩踏み出す勇気を与えてくれるでしょう。
決して気楽な人生を歩んできたわけではない、苦労人のアンダーソンさんが歌うからこその説得力、と言えそうですね。
AutomatonJamiroquai

イギリス出身のジェイ・ケイさんの実質的なソロ・ユニットであり、世界中でヒットを飛ばし続けているジャミロクワイ。
80年代のファンクやディスコからインスパイアされたヒット曲が多く生まれた2010年代において、踊れるジャズとしてファンクやソウルからの影響を落とし込んだアシッド・ジャズをけん引した存在であるジャミロクワイが、2017年に発表した『Automaton』を紹介します。
同名のアルバムの表題曲であり、いかにもジャミロクワイらしい遊び心あふれるシンセや電子音が飛び交う近未来的ファンク・チューンに、往年のファンであれば思わず笑顔を浮かべてしまったことでしょう。
時流と向き合ったEDM的な要素もありながらも、あくまで古き良きディスコ・サウンドやファンク・グルーブが根底に流れているというのが、ジェイ・ケイさん一流の音楽性と言えそうです。
Talkin’ LoudIncognito

「踊れるジャズ」を軸として、クラブ世代から生まれたアシッド・ジャズの代表的なバンドであるインコグニート。
1979年の結成以来、イギリスはロンドンが生んだジャズ・ファンクの最高峰として2020年代の今も活躍する大御所中の大御所ですよね。
そんなインコグニートが1993年に発表した名盤『Positivity』に収録されている『Talkin’ Loud』は、リズム隊による文句のつけようがない骨太かつしなやかなグルーブはもちろん、無心で踊ってしまいそうになるギターのカッティング、豪華なブラス・セクション、見事なボーカル・ワークが光るメイザ・リークさんの歌唱、どれを取っても最高の出来栄えとなっております。
聴いているだけで、ハッピーな気分にさせてくれることは保証しますよ。
ちなみに、本作をリリースしたレーベル名も「トーキング・ラウド」で、アシッドジャズのブームをけん引した「アシッド・ジャズ・レコーズ」の創立者の1人、ジャイルス・ピーターソンさんが設立したレーベルです。
Uptown Funk ft. Bruno MarsMark Ronson

80年代ディスコ~ファンクの復権を高らかに歌い上げ、2010年代という時代に大ヒットを飛ばした楽曲と言えば、2014年に発表された『Uptown Funk』でしょう。
2000年代以降の数多くの有名アーティストのアルバムを手掛け、ソロ・アーティストとしても活躍する音楽プロデューサーのマーク・ロンソンさんが、大人気シンガーソングライターのブルーノ・マーズさんとコラボレーションした大ヒット曲です。
世界中で特大ヒットとなった楽曲ですし、ここ日本ではCM曲としても起用されましたから、あまり洋楽を聴かないという方であっても一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
その完ぺきなポップネス、ファンクネスはもはや説明不要でしょうが、50年以上のキャリアを持つ和製R&Bの女王と呼ばれた和田アキ子さんがカバーしたのも納得の、時代をこえたタイムレスな魅力がこの曲にはあるのです。