北から南まで、日本各地に伝わる郷土の宝物ともいえる伝統の歌声。
あなたにも、子供のころに祖父母や父母から歌ってもらった、あるいは一緒に歌った、思い出深い1曲があるのではないでしょうか?
その土地の暮らしや文化、人々の思いが織り込まれた民謡は、世代をこえて歌い継がれてきました。
本記事では、そんな心に響く日本の民謡の数々をご紹介します。
懐かしい故郷の調べに耳を傾けながら、日本の心と風土に触れてみましょう。
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ソーラン節

日本で最も有名な民謡といっても過言ではない『ソーラン節』。
もとは北海道の日本海沿岸の民謡として知られ、今では全国でこの曲を使った演舞が披露されています。
他の民謡よりも踊りやすく、テンポが速いことと、掛け声をかけやすいこと、そして『3年B組金八先生』で取り上げられたことなど、さまざまな要因が重なって広く認知されるようになった、日本が誇る名曲です。
南部俵積み唄

『南部俵積み唄』は、旧南部家領の青森県三戸郡に伝わる民謡、門付唄です。
その昔、青森県三戸郡の門付芸人は、正月や節分などの節目に家々を回り、米俵などの小道具を用いて『南部俵積み唄』などを披露。
家の主人や夫人、蔵や屋敷を褒めちぎる祝いの芸を披露して、米や銭を受け取っていたと言われています。
津軽あいや節

九州の港町で生まれた舟唄が、日本海を北上し、雪深い津軽の地で力強く花開いた1曲です。
源流である南国の陽気な響きに、厳しい自然と向き合う人々の思いが溶け込み、独自の音色へと昇華されました。
繰り返される掛け声は、具体的な物語ではなく、厳しい不作の時代を乗り越え、明るい未来を願う共同体の祈りそのものだったのかもしれません。
津軽五大民謡の一つとして歌い継がれ、現代では上妻宏光さんらがその精神を継承しています。
この楽曲は、仲間と集うにぎやかな場で聴けば一体感が生まれ、一人で聴けば故郷の風景や人々の温かさが心に浮かぶよう。
厳しい冬の先に春を待つような、力強い希望を感じさせてくれる調べです。
てぃんさぐぬ花

沖縄で古くから親から子へと歌い継がれてきた、温かい教えに満ちた楽曲です。
ホウセンカの花で爪を染めるように、親の教えを心に染み込ませなさいという優しい教えが歌われています。
親の言葉は数えきれない星のようであり、人生の航路を照らす北極星のようなものだという例えに、共感をおぼえる方もいらっしゃるかもしれませんね。
この楽曲は1966年にNHK『みんなのうた』で放送されたことをきっかけに広く親しまれ、近年ではドラマ『ちむどんどん』でも使用されました。
2012年3月には県民投票で県の音楽シンボルにも選ばれています。
竹田の子守唄

京都、伏見の竹田地区で歌い継がれてきた、哀愁に満ちた子守唄です。
しかしその実態は、貧しさから子守奉公に出された少女たちの、過酷な日常と悲しみを歌ったものでした。
盆も正月もなく働き続けるつらさが、胸にせまるように伝わってきます。
この地域の歌が広く知られるきっかけは、住井すゑさん原作の舞台『橋のない川』の取材でした。
1971年にフォークグループ「赤い鳥」が取り上げ、1991年には川村かおりさんのカバーが約28万枚のセールスを記録するなど、世代をこえて歌い継がれています。
歌声の奥にある物語に耳を澄ませば、郷土に生きた人々の息づいが聴こえてくるかもしれませんね。
炭坑節

『炭坑節』は福岡県に伝わる民謡であり、現在の田川市で誕生したと言われています。
三井田川炭鉱の女性労働者が歌っていた『伊田場打選炭唄』が原曲とされ、編曲をへて1932年に初めてレコード化されました。
現在では盆踊りの最もスタンダードな楽曲として、全国に深く浸透しています。
俊良主節

魂に直接語りかけるような哀切な旋律が、聴く人の心を深く揺さぶる奄美大島の島唄です。
もとは恋唄として親しまれていましたが、明治時代に地元の代議士の妻が海で命を落とすという悲劇を機に、鎮魂歌として生まれ変わりました。
この楽曲には、女性がその兄弟を霊的に守るという島の信仰が織り込まれており、深い悲しみの奥に宿る揺るぎない魂の絆を感じさせます。
中野律紀さんによる歌唱で1993年5月に音源が発売されたほか、1994年には若手がこの歌で民謡大賞を受賞するなど、世代をこえて大切に歌い継がれています。
故郷や今は亡き大切な人に思いをはせる静かな夜に、じっくりと耳を傾けてみてはいかがでしょうか。


