歌が上手い。歌唱力が高い日本の女性歌手
ひと口に「歌が上手い」と言っても、その方向はさまざま。
驚異的にピッチ(音程)が安定していたり、超人的な音域があったり、絶妙なリズム感を持っていたり、圧倒的な歌声であったり。
今回は、そんな様々な方向から「歌が上手い」と定評のある女性シンガーさんたち、また僕が長年のボーカルプロデューサー、ボイストレーナーとしての経験から「この人は上手い!」と思う女性シンガーさんたちをピックアップしてみました。
もちろん、シンガー、ボーカリストの魅力は必ずしも「歌の上手さ」にだけあるわけではありませんが、たまには「上手さ」にこだわって聴いてみるのも良いのではないでしょうか?
シンガーを目指す方のご参考にもしていただけると幸いです。
歌が上手い。歌唱力が高い日本の女性歌手(61〜80)
レット・イット・ゴー ~ありのままで~松たか子

皆さんご存知、ディズニーアニメ「アナと雪の女王」日本語版の主題歌。
それを歌うのは、アニメの主役エルサの声も務める松たか子。
さすがは歌舞伎の家柄の中で生まれ、早くから舞台も多く経験している彼女、その安定した歌声、日本語歌詞の響のキレイさ、ハイトーンのヌケやキレ、どこを取っても非の打ち所のない歌唱を聴かせてくれます。
この松たか子の歌う日本語版は、海外でも「本家May.Jバージョンよりも心に響く!」と評判になっているようです。
透き通るようなハイトーンが素晴らしいとは先ほども書きましたが、この曲の聞き所は、何と言っても曲のエンディング部分、締めのフレーズじゃないかと思います。
ピッチは外さず、歌として立派に成立させつつも、セリフとしても十分に表現されています。
これ、なかなか普通のシンガーではできないんですよね。
ミュージカルを目指す方はぜひこれをお手本に頑張ってみてください!
My Revolution渡辺美里

日本の女性シンガー、シンガーソングライターの渡辺美里さん。
今回ご紹介するの『My Revolution』は、その4作目のシングルで1986年1月22日リリース。
ちなみに作曲は小室哲哉さん。
近年のシンガーさんの歌唱は、その発声法や表現、楽曲など非常に複雑なものが多いのですが、この楽曲は非常に正統派なポップソングで、そこで聴ける渡辺美里さんの歌唱も、その発声、歌唱表現力など、とてもわかりやすい正統的な「歌の上手さ」を感じさせてくれます。
そういう意味では、今のお若い世代の方には少し時代を感じさせてしまう歌唱スタイルかもしれませんが、こういう正統派な歌唱スタイルは時代を超えて生き続きるものだと思います。
当時をリアルタイムで知らない世代の方にこそ聴いていただきたい女性ポップシンガーです。
One Last Kiss宇多田ヒカル

日本の女性シンガーソングライターの宇多田ヒカルさん。
彼女が非常に高い歌唱力を持たれていることは、ここであらためて筆者が技わざ言及しなくてもいいくらい、日本のファンの皆さんやリスナーの方もすでにご認識されていますよね!
その歌唱力、歌唱表現力の高さは今回ここでご紹介させていただく、アニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』のテーマソングでもある『One Last Kiss』でも存分に発揮されています。
とくに、彼女のようないわゆる「R&B系シンガー」の必須テクニックと言っても過言ではない、ミドルボイス(ミックスボイス)を巧みに使った歌唱表現は見事としか言いようがないと思います。
また、ニューヨーク生まれで英語環境でお育ちになったということも大いに関係するのではないかと思いますが、楽曲の中で「休符を歌う」ということがしっかりと実現されていて、スロー〜ミドルテンポのこの曲のような曲調の歌唱でも、歌が決して平板になっていないところも見事ですね!
筆者も普段のレコーディング業務等で、この「休符を歌う」ことの重要さをディレクションすることが多いですが、なかなかここまで見事に16分音符の裏拍まで表現してくれる日本人シンガーは少ないですよ。
青空Salyu

小学生の頃に風邪をこじらせて肺炎で入院した経験から、「体力をつけるため」と歌を始めて、クラウン少女合唱団に参加したという彼女、この曲でも幼少時のその経験を存分に活かされたものと感じられる、非常に滑舌のいいキレイな歌詞の発音に驚かされます。
そして圧巻はサビ終わり部分の超絶ハイトーンの歌唱。
前述の合唱団では童謡や近代音楽、賛美歌などを歌っていたとのことですが、そういった経験に基づいたものと思われる、決して絞り出すような「苦しさ」を感じさせない、どこまでも伸びるようなハイトーンは聴く人の心をぐっと引き寄せるパワーに満ちていますね。
神様アイナ・ジ・エンド

アイナ・ジ・エンドさんは、日本の歌手、ダンサー、女性アイドル、シンガーソングライターで、6人組ガール・グループ・BiSHのメンバーとしても活躍されています。
筆者は本稿を書くに当たって初めて、このアイナ・ジ・エンドさんの歌唱を聴いたのですが(寡聞にして無知で申し訳ありません…)、少しくぐもったような歌声がとても魅力的なシンガーさんですね。
また決して力まない歌唱の中でも的確に楽曲を表現した歌唱を披露されているところも賞賛に値するのではないかと思いました。
僕のところにレッスンに来る生徒さんの中にも、こういうボーカルスタイルに憧れている方は多いのですが、実際にやってみると非常に難しいスタイルなんですよね。