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和ジャズのすすめ~日本人ジャズの名盤・オススメの1枚

ジャズという音楽ジャンルに興味がない方であれば、何となく外国の音楽といったイメージがあるかもしれません。

実はここ日本において、世界に誇る名プレイヤーは多く輩出されていますし、素晴らしい名盤も数え切れないほどにリリースされているのですよ。

今回は、そんな日本人ミュージシャンによる「和ジャズ」の名盤を集めた内容でお届けします!

60~70年代を中心とした往年の名盤を中心として、90年代から00年代に発表された作品にも目を向けたラインアップとなっております。

海外のジャズとは一味違う、日本人ならではのジャズ・ミュージックをぜひお楽しみください!

和ジャズのすすめ~日本人ジャズの名盤・オススメの1枚(1〜10)

ドリーム・アイズ峰厚介五重奏団

日本を代表するアルト・サックス奏者である峰厚介さんを中心とした峰厚介五重奏団が、1970年に発表した記念すべきデビュー・アルバムが『峰』です。

スリー・ブラインド・マイス(TBM)の第1作目となった本作は、まさに和ジャズ史に残る金字塔とも言えるでしょう。

モダンジャズやフリージャズの要素を取り入れた情熱的なプレイと、独特の日本的感性が見事に調和した極上のサウンドは、当時のジャズ・ファンの心を鷲掴みにしました。

アルバムのリリース後、峰さんはスイングジャーナル誌読者人気投票のアルト・サックス部門で渡辺貞夫さんに次ぐ第2位に輝くなど、ジャズ界の新星として注目を集めることになります。

意欲的なサウンドと演奏が光る本作は、伝統的なジャズに新しい息吹を求める方にぜひおすすめしたい一枚です。

アナザーマインド

XYZ上原ひろみ

あまりジャズという音楽ジャンルに詳しくない、という方であっても上原ひろみさんの名前くらいは知っている、テレビなどで目にしたことがあるという人は多いのではないでしょうか。

上原さんは幼少期の頃から早熟な才能を発揮していた神童であり、ジャズのみならずクラシック音楽の素養も持ち合わせ、その突出したピアノのテクニックは世界中の著名なミュージシャンたちからも大絶賛されています。

まさに天才と呼ぶにふさわしい、存在自体がジャンルを超越したクロスオーバーなミュージシャンと言える上原さんは多くの作品をリリースしており、代表作を1つ取り上げるのはなかなか難しいですが、今回は上原さんにとって記念すべき世界デビュー盤となったアルバム『アナザーマインド』を紹介しましょう。

全曲が上原さんが作曲を手掛けたオリジナル曲で固められており、スタンダードナンバーのカバーなどは一切なしといった潔い構成となった本作は、2004年度の第18回日本ゴールドディスク大賞「ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー受賞」を受賞するなど高く評価されたアルバムです。

当時23歳の上原さんによる天才的なプレイはもちろん、楽曲の持つダイナミズムや疾走感は、むしろロック・ファンやプログレ好きな方も楽しめるはずです!

Breakout

Wild Goose Chase小曽根真

日本が世界に誇るジャズ・ピアニスト、小曽根真さんが2021年に発表した意欲作『Breakout』。

ジャズとクラシックの両分野で卓越した才能を発揮し続ける小曽根さんが、さらなる進化を遂げようと挑んだ意欲作です。

一流のミュージシャンたちとの共演で、ジャズを基調としながらもフュージョンやラテン音楽など、多彩な要素を取り入れた革新的なサウンドが展開されます。

繊細さと力強さを兼ね備えた圧巻のピアノ演奏は、聴く者を魅了せずにはおきません。

録音からミキシング、マスタリングまで細部にわたるこだわりが感じられ、音質面でも非常に高いクオリティを誇っています。

ジャズの新しい可能性を探求したい方、小曽根さんの音楽的冒険に触れてみたい方にぜひおすすめしたい一枚です。

和ジャズのすすめ~日本人ジャズの名盤・オススメの1枚(11〜20)

POO-SUN

Dancing Mist菊地雅章

「プーさん」の愛称で親しまれた天才ピアニスト菊地雅章さんの1970年作『POO-SUN』は、日本のジャズ史に大きな足跡を残した革新的な一枚です。

ビクタースタジオで録音されたこの作品には、峰厚介さんや市川秀男さんといった日本のジャズ界を代表する実力派プレイヤーが集結。

当時、マイルス・デイヴィスさんの影響を強く受けていた菊地さんの音楽的探求心が、フュージョンとアヴァンギャルドを融合させた斬新なサウンドとして結実しています。

全6曲すべてが菊地さん自身の書き下ろしという意欲作で、フリー・インプロヴィゼーションの要素を取り入れた実験的な試みは、今なお色褪せることのない輝きを放っています。

従来のジャズの枠を超えた表現に挑戦したい方、新しい音楽体験を求めている方にぜひお勧めしたい名盤です。

Something’s Coming

Something’s Coming大野俊三

日本のジャズ・シーンを代表するトランペット奏者、大野俊三さん。

1974年に渡米後、アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズに参加し、国際的な活躍を開始したアーティストです。

そんな大野さんが1975年にEast Windよりリリースしたアルバム『Something’s Coming』は、ジャズ・ファンクとフュージョンを融合させた意欲作。

ロイ・ヘインズさんやドン・ペイトさん、菊地雅章さんといった実力派ミュージシャンを迎え、複雑なリズムと斬新なアレンジで魅せる全4曲を収録しています。

後にグラミー賞にもノミネートされた大野さんの才能が、このアルバムで存分に発揮されているのを感じられます。

ジャズの新しい可能性を探求したい方、そして和ジャズの真髄に触れたい方にぜひお薦めしたい1枚です。

Scenery

Scenery福居良

北海道平取町出身の福居良さんは、22歳でピアノを独学で始め、約40年間に渡って活躍した偉大なジャズ・ピアニスト。

力強いビバップスタイルと繊細な旋律が特徴的な演奏で、多くのファンを魅了してきました。

1976年12月にトリオレコードからリリースされた処女作『Scenery』は、独学でピアノを始めてからわずか6年後の28歳の時に録音された傑作です。

ビバップからモーダルまで、様々なジャズの要素を取り入れたピアノトリオ編成の本作は、福居さんの卓越した技巧と表現力が存分に発揮された名盤。

2016年に逝去されてからは、YouTubeなどを通じて世界中で再評価され、2024年6月には国内盤LPとして再発売されるなど、その輝きは衰えることを知りません。

美しい旋律と心揺さぶる演奏に魅了されたい方に、ぜひ聴いていただきたい1枚です。

スマイル

Watarase森山威男

Takeo Moriyama – Watarase (Fumio Itabashi)
Watarase森山威男

森山威男さんは、日本のジャズの歴史においてその名を刻む偉大なジャズ・ドラマーです。

ジャズ・ピアニストの山下洋輔さんが結成して、圧倒的な演奏と群を抜いた個性が織り成すフリージャズを展開した「山下洋輔トリオ」のメンバーとして世界的な知名度を得て、グループを脱退以降は自身をリーダーとする森山威男カルテットとして活躍。

演奏活動をほぼ停止していた時期もありましたが、活動を再開後は精力的に海外ツアーなどもこなし、2002年には文化庁芸術祭レコード部門優秀賞など複数の賞を受賞するなどの輝かしいキャリアを誇るミュージシャンなのですね。

そんな森山さんが1981年に発表したアルバム『スマイル』は和ジャズの傑作と言われており、メンバーとして名を連ねているピアニストの板橋文夫さんが作曲した屈指の名曲『ワタラセ(渡良瀬)』が初めて録音された作品としても知られているアルバム。

オープニングから12分に迫る圧巻の大作『Exchange』から幕を開け、前述した『Watarase』で魅せる日本的な情緒豊かな旋律、ダンディかつメロウ、哀愁のロマンチシズムが胸を締め付けるラスト曲の『Good Bye』など全曲が素晴らしい名曲、名演となっています。

フリー・ジャズをけん引していた時代の森山さんとはまた違った、正統派のモダンなジャズとして大推薦の1枚です!