和ジャズのすすめ~日本人ジャズの名盤・オススメの1枚
ジャズという音楽ジャンルに興味がない方であれば、何となく外国の音楽といったイメージがあるかもしれません。
実はここ日本において、世界に誇る名プレイヤーは多く輩出されていますし、素晴らしい名盤も数え切れないほどにリリースされているのですよ。
今回は、そんな日本人ミュージシャンによる「和ジャズ」の名盤を集めた内容でお届けします!
60~70年代を中心とした往年の名盤を中心として、90年代から00年代に発表された作品にも目を向けたラインアップとなっております。
海外のジャズとは一味違う、日本人ならではのジャズ・ミュージックをぜひお楽しみください!
和ジャズのすすめ~日本人ジャズの名盤・オススメの1枚(51〜60)
ハチ山下洋輔

ヒジ打ちのピアノ演奏など型破りなプレイを駆使し、日本のフリージャズ界の先駆者としてシーンを席巻した山下洋輔さん。
フリージャズの分野に限らずオーケストラや和太鼓との共演、作曲家やエッセイストとしても活躍する山下さんは、まさに和ジャズの歴史にその名を刻む偉人の一人です。
そんな山下さんによる「山下洋輔トリオ」の絶頂期、1975年にドイツで行われた壮絶なライブの模様を記録した『キアズマ』は、70年代のフリージャズ時代における貴重な証言そのもの、と断言したいすさまじい熱量が迫りくる衝撃的なアルバムなのですね。
音楽理論や一般常識などあらゆる制約から解き放たれたかのように、縦横無尽に暴れ回る山下さんのピアノ、森山威男即さんのドラムス、坂田明さんのアルト・サックス……興演奏という音楽に慣れていない方であれば、何をやっているのか分からない単なる雑音にしか聴こえないかもしれません。
曲の終わりに収録された、耳の肥えた海外のオーディエンスの拍手喝采の反応を耳にすれば、どれほどの驚きを持ってこの音が迎え入れられたのかが理解できるはず。
聴き手の魂を解放するような演奏ですから、こちらも全身全霊で彼らの演奏に向き合うことをおすすめします!
Tell Me A Bedtime Story笠井紀美子

1970年代の日本におけるジャズ・シーンにおける伝説的なシンガーであり、80年代以降のシティポップ歌手としても世界中の音楽ファンから熱い視線を浴びる京都出身の笠井紀美子さん。
音楽活動と並行してジュエリーデザイナーとしても活動していた笠井さんは、1998年に活動30周年を迎えたのと同時に音楽業界からきっぱり足を洗ってしまいますが、その潔さも含めて伝説たるゆえんと言えるかもしれませんね。
そんな笠井さんが1979年にリリースしたアルバム『Butterfly』は、ジャズ界の巨人ハービー・ハンコックさんと共同名義で発表され、時代を反映したフュージョンやディスコ・ミュージック、シティポップ的な感性で織り成す先鋭的なサウンドは、リリース当初はその価値が認められなかった面もあったそうです。
むしろ本作の評価は時がたてばたつほど高まるばかりで、幾度かのリイシューも行われ、現在では日本のみならず海外の音楽ファンからも愛される作品となりました。
ハービーさんの名曲を自分流に歌い上げる笠井さんの歌声はまさにマジカルな魅力を放ち、スティーヴィー・ワンダーさんの楽曲をカバーした『As』もナイスな出来です。
ジャズ・ファンはもちろん、シティポップに興味のある若い音楽ファンも必聴の1枚ですよ!
Mrs. RobinsonHiroki Miyano & Earl Klugh

革新的なギター奏法と言われたさざなみ奏法という技術でフュージョン界やライトジャズの界隈で人気を博した宮野弘紀の代表曲です。
国内外でのフィーチャリングも積極にこなしおり、叙情溢れる楽曲に仕上がっています。
Sunny綾戸智恵

綾戸智恵さんは、おそらく日本で最も有名な女性ジャズ・シンガーの1人でしょう。
音楽活動だけではなく、ドラマ出演やテレビのコメンテーターなども務め、幅広い活動でお茶の間に知られた存在の綾戸さんですが、ジャズ・シンガーとして1998年に『For All We Know』でアルバム・デビューを果たした時点では40歳という年齢で、かなり遅咲きのデビューなのですね。
本稿で取り上げている『Your Songs』は、デビュー以前からライブハウスなどでその圧倒的な実力が有名だった綾戸さんが、綾戸智絵名義で1998年にリリースした通算2枚目のアルバムです。
ジャズのスタンダードナンバーからビートルズ、エルトン・ジョンさんといったロック~ポップス・サイドのアーティストによる名曲を歌う綾戸さんの歌唱はまさに絶品の一言!
純然たるジャズ・シンガーとしての、そして稀代の歌い手としての綾戸さんの魅力を心ゆくまで味わいたいという方に対しては、本作はベストな作品の1つとして挙げられるのではないでしょうか。
和ジャズのすすめ~日本人ジャズの名盤・オススメの1枚(61〜70)
Softly As In A Morning Sunrise本田竹曠

「これが自分だ」と宣言するアルバム・タイトルの時点で最高に潔くてカッコいいのですが、モノクロのジャケットに映るアフロヘア―でヒゲの男性の横顔も含めて、ジャケ買い必至の作品です!
伝説的なフュージョン・グループのネイティブ・サンの結成メンバーとしても知られているジャズ・ピアニストの本田竹広さんが、本田竹曠という名義で1972年に発表した『ジス・イズ・ホンダ』を紹介します。
日本を代表するジャズ・ベーシストの1人である鈴木良雄さん、渡辺貞夫さんの実弟であるドラマーの渡辺文男さんの3人で組んだピアノ・トリオ編成の作品であり、スイングジャーナル誌のジャズディスク大賞における最優秀録音賞を受賞するなど、本田さんにとっては代表作としても知られている1枚です。
全6曲がスタンダードナンバーのカバーで構成されており、スタンダードナンバーだからこそ演奏者の個性が出るというものですから、そういった観点からも彼らの素晴らしいプレイヤビリティやセンスは十二分に感じ取れるのではないでしょうか。
独特のブルース・フィーリングを感じさせる本田さんのピアノは黒さ満点ながらも日本人独自の感性がしっかりと刻まれており、時折聴こえるご本人のうなり声も臨場感にあふれていて良いですね。
もちろんリズム隊の仕事も文句なし、小奇麗なピアノトリオとは違う激しくもクールな魅力をぜひ全身で浴びていただきたいです!
JupiterMaiko

平原綾香が唄う「Jupiter」を、東京で活躍するジャズヴァイオリニストのMaikoさんが、ピアノとのデュオでしっとりと演奏しています。
ドラマ「陸王」のテーマにもなりましたね。
Maikoさんは東京を中心に活躍している若手ジャズ・ヴァイオリニストです!
Water Ways Flow Backward AgainKylyn

Kazumi Watanabeの代表曲で、特に耳残りのするメロディーと、構成で深い水の世界に誘われます。
日本人トラックメイカーであるPunpeeによってサンプリングされたことでも再注目されました。
坂本龍一との親交も深く、質感の高さは折り紙つきの一曲となっています。