【モーリス・ラヴェル】名曲、代表曲をご紹介
印象派音楽の重要な人物の一人、モーリス・ラヴェル。
彼の作品は細部まで緻密に作られており、土台に古典的な形式をしっかり取り入れていますが、印象派らしい表現も混じり合っていることから、彼にしかない唯一無二の音楽を感じられます。
他の作曲家のオーケストラ編曲も行っており、その卓越されたオーケストレーションから「オーケストレーションの天才」「管弦楽の魔術師」とも呼ばれていました。
本記事では、そんなラヴェルの名曲、代表曲をご紹介します。
クラシックに馴染みのない方でも、どこかで一度は聞いたことがあるであろう曲も存在するので、ラヴェルの素晴らしい名曲の数々をお楽しみください!
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【モーリス・ラヴェル】名曲、代表曲をご紹介(51〜60)
夜のガスパール 第3曲「スカルボ」Maurice Ravel

ラヴェルの作品のなかでも、屈指の難易度をほこると言われている作品『夜のガスパール 第3曲「スカルボ」』。
前衛的な表現を作り上げたラヴェルですが、本作でもその個性はいかんなく発揮されており、速いパッセージや難しいオクターブが連発するなかで、細かい表現を達成しなければなりません。
単純な難易度だけなら他の高難易度の曲に劣ることもあるものの、弾くのに精いっぱいの状態であれば、細かい表現を演出していくのは相当難しいといわざるをえません。
表現力に自信のある方は、ぜひ取り組んでみてください。
子供と魔法Maurice Ravel

1924年完成の1幕物のオペラ。
バレエも加わり、ラヴェル自身が「ファンタジー・リリック」と呼んだ幻想的な作品です。
1914年にパリ・オペラ座の監督に就任したジャック・ルーシェが童話バレエを企画。
作家のコレットが台本を仕上げた後、作曲を誰に依頼するかルーシェとコレットとで相談した時に、ルーシェがラヴェルを提案、コレットも大賛成して決まったといいます。
和楽器と日本舞踊によるボレロMaurice Ravel

静かに始まり、徐々に盛り上がっていく独特の構成が魅力の傑作です。
箏や尺八、太鼓などの和楽器と日本舞踊によって、モーリス・ラヴェルの『ボレロ』に新たな解釈が加えられました。
リズムと旋律の繰り返しが、時の流れや人間の内面の変化を表現し、不死鳥の復活というテーマが込められています。
2021年12月の初演以来、多くの人々を魅了し続けており、YouTubeでの再生回数も10万回を超えました。
クラシック音楽と日本の伝統芸能の融合に興味がある方にぜひおすすめです。
ソナチネ M.40 第1楽章Maurice Ravel

モーリス・ラヴェルの作品の中には、バロックや古典派作品への傾倒が垣間見えるものが多々あり、この『ソナチネ』も古典様式へのこだわりを感じられる作品の1つです。
第1楽章は、ソナチネ形式を守りつつラヴェルらしい絵画的で美しいメロディが際立つ楽曲です。
ソナチネアルバムの収録曲を練習したことのある方なら「この響きは古典作品には絶対に出てこない」というポイントを感じ取れるはず!
繊細なタッチでの演奏は容易ではありませんが、時代による違いなども感じながら演奏すると、ラヴェルの作品への興味が一層湧いてくるでしょう。
BoleroMaurice Ravel

独創的な構成で音楽界に大きな影響を与えたフランス出身の音楽家、モーリス・ラヴェル。
さまざまな形式の音楽作品で成功を収めており、バレエ音楽でも名曲を持ちます。
その中でも特に有名な作品が、こちらの『Bolero』。
日本ではそのまま『ボレロ』というタイトルで知られており、バレエの枠組みをこえて1つの音楽作品として現在でも人気を集めています。
2種類の旋律が繰り返される非常に独特な構成に仕上げられた作品なので、そういった部分に中心に聴いていると、この曲の完成度の高さがうかがえるでしょう。
「夜のガスパール」より「絞首台」Maurice Ravel

「夜のガスパール」というタイトルは、詩人ベルトランの64編から成る散文詩集のタイトルから取られています。
ラヴェルはこの詩集の中から幻想的で怪奇性の強い「オンディーヌ」「絞首台」「スカルボ」の3編を選び、そのイメージに大変な技巧を織り交ぜながら情熱的なピアノ曲に仕上げました。
「絞首台」の詩の内容は、絞首台にぶらさがった死体、その足元にひそむ無数のコオロギやクモ、遠くで鳴り続ける鐘の音、そんな光景を夕日が赤く染めているというものです。
印象的に鳴り響く鐘の音と、薄暗く怪しい雰囲気を見事に表現した1曲です。
三つの歌Maurice Ravel

無伴奏混声合唱のための作品。
「ニコレット」「3羽の美しい極楽鳥」「ロンド」から成ります。
1914〜5年に作曲。
作詞もラヴェル自身によるものです。
「3羽の美しい極楽鳥」の3羽の色は青、白、赤、つまりフランス国旗の色で、第一次世界大戦中に国を憂う気持ちで書いたことが表れる歌詞。
「ロンド」では妖精や魔女の名前が頻出する歌詞となっています。
ソナチネ 2楽章Maurice Ravel

モーリス・ラヴェルといえば、『ボレロ』や『亡き王女のためのパヴァーヌ』で有名なフランスの作曲家です。
1903年に作曲された本作は、全3楽章からなるピアノ曲で、特に第2楽章が美しいと評判です。
優雅な舞踏のリズムと、ラヴェル独特の印象主義的な和声が織りなす音の世界は、まるで夢の中にいるような感覚を味わわせてくれます。
緻密な構造と豊かな表現力を持つ本作は、クラシック音楽ファンはもちろん、優雅な雰囲気に浸りたい人にもおすすめです。
ラヴェル自身も好んで演奏していたそうで、聴く人の心に深い感動を与える魅力にあふれています。
2つのヘブライの歌Maurice Ravel

1914年作の歌曲集。
ピアノ伴奏による声楽用。
1919年に管弦楽伴奏版も発表されています。
「カディッシュ」「永遠の謎」から成ります。
「カディッシュ」の歌詞はアラム語の典礼文。
「永遠の謎」の歌詞はユダヤ民謡から採られています。
スペインの時Maurice Ravel

1907年作曲の1幕物のオペラ。
『スペインの時計』とも呼ばれることがありますが、実際の意味は「スペイン時間」。
舞台に大時計が登場することにより、つられて「時計」と誤訳したものと考えられます。
演奏は、小澤征爾さん指揮のパリ国立歌劇場管弦楽団。
2004年収録されました。
【モーリス・ラヴェル】名曲、代表曲をご紹介(61〜70)
ツィガーヌMaurice Ravel

もともとバイオリンとピアノのための作品、後に自らピアノ・パートを管弦楽に編曲。
ツィガーヌとはロマのことです。
ハンガリー出身の女性バイオリニスト、イェリーに献呈されたました。
ロマはハンガリーだけでなく、スペインのバスク地方にロマがおり、ラヴェルは母親がスペイン出身のバスク人だったことから、自然な形でそうした民族性がこの作品にも発揮されています。
ピアノ三重奏曲Maurice Ravel

1914年作曲。
個性的な四楽章から成ります。
第一楽章「モデレ」では母親の出身地であるバスク地方の舞曲をイメージしています。
第二楽章「パントゥム」は、マレーシアの詩の形式から着想されています。
第三楽章「パッサカーユ」は冒頭でバロック音楽を思わせるものとなっています。
第四楽章「フィナーレ」では管弦楽的な効果が求められており、三人の奏者いずれのパートも難易度が高くなっています。
ヴァイオリンとチェロのためのソナタMaurice Ravel

1920〜22年に作曲。
「アレグロ」「きわめて速く」「緩やかに」「ヴィーヴォ・コン・スピリト」の四楽章構成。
第一と第四楽章では、ハンガリー的な響きも込められています。
「アレグロ」だけはすでに1920年に発表されていたもので、1918年没のドビュッシーを追悼する企画に寄せたものです。
後に第二楽章以降も書き上げて全四楽章のソナタとしました。
ヴァイオリンソナタMaurice Ravel

1922〜27年にかけて作曲されました。
親しい女性ヴァイオリニストのエレーヌ・ジュルダン=モランジュに献呈。
しかし彼女がリューマチで演奏不能だったため、初演ではジョルジュ・エネスクをソリストに迎え、ピアノをラヴェル自身が担当。
三楽章構成「アレグレット」に続き、「ブルース」ではアメリカのジャズやブルースから啓発された要素をちりばめています。
最後は「無窮動」で終わります。
序奏とアレグロMaurice Ravel

1905年作曲の室内楽曲です。
編成はハープ、フルート、クラリネット、そして弦楽四重奏。
この珍しい編成で作曲されたのは、ハープのメーカー、エラール社がダブル・アクション式のペダル付きハープの普及を願って作曲を依嘱したという事情です。
そのため、ハープのパートはカデンツァも受け持ち、見方によっては室内楽を伴奏とするハープ協奏曲とも言える作品です。
マ・メール・ロワ 第5曲「妖精の園」Maurice Ravel

ピアノ四手連弾組曲『マ・メール・ロワ』の第5曲『妖精の園』は、ヨーロッパに古くから伝わる古い民話『眠れる森の美女』をモチーフに作曲された作品。
眠りについた王女が王子の口づけで目を覚ます感動的なシーンが、キラキラと輝くアルペジオと希望や明るい未来を感じさせる和音で表現されています。
一度に鳴らす音数が多いため、和音をしっかりつかむことや和音で最も目立たせたいトップの音を響かせることが重要です。
大きな音を鳴らすだけにならないよう、ダイナミックな演奏を目指しつつも、練習は細かく分けて丁寧に行いましょう!
夜のガスパール第3「スカルボ」Maurice Ravel

悪魔、悪戯好きな妖精などの意味を含むこの曲は、不気味な旋律が高速でかけめぐっており、まるで小さな悪魔がそこらへんを自由に浮遊しているかのようなそんな怪しさを感じることのできる楽曲である。
演奏にはとてつもない技巧が求められる。
組曲「マ・メール・ロワ」第1曲「眠れる森の美女のパヴァーヌ」Maurice Ravel

イギリスで古くから伝えられてきた童話『マザー・グース』を題材として作曲された、フランスの作曲家モーリス・ラヴェルの『マ・メール・ロワ』。
オリジナルはピアノ連弾ですが、これをベースとした管弦楽曲やバレエ音楽も広く親しまれています。
組曲の幕開けを飾る第1曲『眠れる森の美女のパヴァーヌ』は、童話『眠れる森の美女』を題材としており、夢のなかを漂っているような不思議な気持ちにさせられる1曲です。
淡い雰囲気を出せるよう、やわらかく角のない音で演奏しましょう。
ラヴェル: バレエ 《ダフニスとクロエ》 組曲 第2番 カラヤン / ベルリン・フィル 1964Maurice Ravel

伝統的な牧歌曲の一つであるパストラルも、20世紀に入って新たなアレンジ色を持つようになります。
その一つがこのラヴェルの奏でるダフニスとクロエです。
旧来の豊穣や和やかさに加えて、神秘的で繊細な音調が加わり、とても美しい表情を見せていますよね。
「スペインの時」序曲Maurice Ravel

フランス印象派音楽の作曲家モーリス・ラヴェルは、サティやドビュッシーと並んで有名な作曲家です。
ラヴェルが作曲したオペラ作品「スペインの時」は、上演時間が1時間にも満たない1幕劇で、喜劇的要素が強い作品です。
【モーリス・ラヴェル】名曲、代表曲をご紹介(71〜80)
クープランの墓 第1曲 プレリュードMaurice Ravel

第一次世界大戦で犠牲となった知人たちへの追悼の思いが込められた、全6曲からなる『クープランの墓』。
1曲目を飾る『プレリュード』は、モーリス・ラヴェル作曲の四手連弾組曲『マ・メール・ロワ』をピアノ独奏用に編曲したジャック・シャルロ中尉にささげられた楽曲です。
軽やかな動きのある曲調は、バロックや古典派の前奏曲の雰囲気とどことなくリンクしているのを感じられます。
快活なテンポの中で音が濁ったり転んだりしないよう、指を独立させるトレーニングなどを取り入れながら練習してみてくださいね。
クープランの墓 第4曲 リゴドンMaurice Ravel

第一次大戦で多くの知人を失ったモーリス・ラヴェルが、彼らへの追悼の意を込めて作曲した『クープランの墓』。
第4曲の『リゴドン』は、ラヴェルの幼なじみだったゴーダン兄弟にささげられた楽曲で、プロヴァンス地方に由来する活発な舞曲「リゴドン」のリズムが使われています。
楽しかった幼なじみとの思い出を表現しているかのような快活さも、曲の背景を知ると切なく感じられますよね。
ぜひラヴェルの思いを想像しながら、演奏してみてください。
クープランの墓 第5曲 メヌエットMaurice Ravel

モーリス・ラヴェルが、第一次大戦で戦死した知人たちを忍ぶ追悼曲として作曲した『クープランの墓』。
タイトルの「クープラン」は、バロック時代に活躍したフランスの作曲家フランソワ・クープランのことで、クープランに代表されるバロック音楽の形式を用いたことからその名が付けられています。
6つの楽曲からなる本曲は、決して易しい曲ではありませんが、第5曲の『メヌエット』はゆったりとしたテンポで比較的難易度が低く、挑戦しやすい作品です。
静かに故人を思うラヴェルの様子を想像しながら弾いてみましょう。
クープランの墓 第6曲「トッカータ」Maurice Ravel

戦争の悲惨さと友情の尊さが込められた『クープランの墓』は、フランスの作曲家モーリス・ラヴェルさんが、第一次世界大戦で失った友人たちへの追悼の思いを込めて作曲した全6曲からなる組曲です。
最終曲の『トッカータ』は、同音連打が続く技巧的な難しさと感情的な深みを兼ね備えた楽曲。
4分の2拍子のホ短調で始まり、途中で調性が変化しながら壮大なクライマックスへと向かいます。
音楽の力強さを感じさせてくれる1曲です。
バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲Maurice Ravel

フランスの作曲家ラベルによって作曲されたバレエ音楽。
古代ギリシャの作家ロンゴスによって2・3世紀頃に書かれた『ダフニスとクロエ』という牧歌的小説を基に作曲されました。
小説の内容は、レスボス島を舞台に羊飼いの少年ダフニスとその恋人クロエをめぐる物語となっています。
幻想的で美しいラヴェルの世界をお楽しみください!
バレエ音楽「マ・メール・ロワ」より「5. 妖精の園」Maurice Ravel

フランスを代表する作曲家モーリス・ラヴェルは、幼年期の記憶や想像力をかきたてる童話の世界を音楽で表現することに長けていました。
特に1908年から1910年にかけて作曲されたピアノ連弾組曲『マ・メール・ロワ』は、シャルル・ペローの『マザー・グースの物語』などを題材とした、ラヴェルならではの繊細で色彩豊かな作品です。
第5曲『妖精の園』は、組曲の終曲を飾るにふさわしい美しい旋律が印象的。
バイオリンの官能的な音色が物語のクライマックスを思わせ、聴く者を童話の世界へといざないます。
『眠れる森の美女』のワンシーンのようにも感じられるこの曲は、フィナーレにふさわしい華やかで幻想的な輝きを放つ本作は、ラヴェルの作品を初めて聴く方にもおすすめの1曲です。
前奏曲Maurice Ravel

パリ音楽院の初見で楽曲を演奏する試験のために作曲されたという、珍しいエピソードを持つ『前奏曲』。
パリ音楽院はモーリス・ラヴェルの出身校であり、ここで14年間エリック・サティなどをはじめとする有名作曲家たちと学びをともにしたことが、作曲家人生に多大な影響を与えたといわれています。
本曲は、わずか27小節の小品ながら調性の変化が激しく臨時記号も多用されているため、譜読みがなかなか大変!
そこさえクリアできれば、全体にゆったりしておりテクニック的に難しいわけではないため、とにかく譜読みでくじけないよう根気よく練習しましょう!
夜のガスパール 第3曲『スカルボ』Maurice Ravel

偉大なフランスの作曲家、モーリス・ラヴェルの名作『夜のガスパール』は、3篇の詩をテーマにして作曲された非常に美しい作品。
この曲の難しさは、やはり表現にあると思います。
もちろん技巧的にも難易度は高く、とくに第3曲『スカルボ』は、ラヴェルが「バラキレフの『イスラメイ』を越えるほどの演奏技巧が必要」と言ったほど。
しかしそれだけでなく、ただ弾いただけではちゃんとした音楽にはならないため、しっかりと楽曲の真意を理解したうえで演奏する必要があります。
高い表現力を維持しながら弾くには、非常に難易度の高い楽曲といえるでしょう。
演奏者による特徴が出やすい作品でもあるので、ぜひ聴き比べてみてください。
左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調Maurice Ravel

『亡き王女のためのパヴァーヌ』や『水の戯れ』に『スペイン狂詩曲』などさまざまな名作を世に送り出したフランスの作曲家、モーリス・ラヴェル。
彼が戦争のために右手を失ったオーストリア生まれのピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインのために書いた作品が、こちらの『左手のためのピアノ協奏曲』です。
後続の左手だけで演奏するピアニストたちもこぞって本作を取り上げており、左手だけで演奏するピアノ作品として非常に重要な立ち位置を占める楽曲として知られています。
1930年代初頭という時代にジャズやブルースの影響をも取り入れたピアノ協奏曲を作った、というだけでも凄いのですが、左手だけでさまざまな技法を駆使してこれほどまでに奔放かつドラマチックな表現ができるのか、と感嘆せざるをえないでしょう。
クライマックスへと向かう際の旋律は、左手だけで弾いているとはとても思えないほど。
相当な技術を持った方でないと弾けない作品ですから、上級者で左手の表現力を限界まで極めたいという方は、ぜひ挑戦してみてください。
弦楽四重奏曲 ヘ長調 第2楽章Maurice Ravel

『ダフニスとクロエ』や『ボレロ』などで有名なフランスの作曲家であるラヴェル。
彼は20世紀初頭のフランスに興ったクラシック音楽の流派の一つ「印象主義音楽」の作曲家であり、当時のフランス美術界でモネ、ルノアール、セザンヌなどの画家たちによって盛んに使われていた新しい技法「印象主義」を、音楽に適用したことで生れました。
この曲は、4つの楽器全てが弦を弾く奏法であるピチカートから始まるのが印象的であり、曲が進むにつれてコロコロと雰囲気が変わ流ので、さまざまな情景を思い浮かんばせることができます。
【モーリス・ラヴェル】名曲、代表曲をご紹介(81〜90)
組曲「鏡」第3曲「洋上の小舟」Maurice Ravel

フランスの作曲家モーリス・ラヴェルは、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した印象派音楽の代表的な人物です。
彼の音楽は、その緻密さと完璧なスタイルで知られており、『ボレロ』などの作品で広く親しまれています。
1904年から1905年にかけて作曲された『組曲「鏡」』の第3曲『洋上の小舟』は、海の波の流れや舟の揺れを想起させる美しい音楽です。
ピアノの演奏技術に高い要求がありますが、その美しい響きに魅了されずにはいられません。
海の美しさと神秘を感じたい方、印象派音楽の世界に浸りたい方にオススメの1曲です。
組曲『マ・メール・ロワ』 より 第1曲「眠れる森の美女のパヴァーヌ」Maurice Ravel

イギリスに古くから伝わる童謡を題材に作曲されたピアノ四手連弾の組曲であり、連弾作品の中でも知名度の高い『マ・メール・ロワ』。
モーリス・ラヴェルはこの曲をベースに管弦楽組曲を制作しており、非常に人気が高いことから、作曲者本人の編曲ではないもののピアノ独奏用の楽譜も出版されています。
第1曲『眠りの森の美女のパヴァーヌ』はゆったりとした流れる平和な雰囲気が魅力的な楽曲。
連弾バージョンや管弦楽バージョンを聴いて、イメージを膨らませてから練習するのもオススメです!
亡き女王のためのパヴァーヌMaurice Ravel

ピアノ作品の名作を聞かれると、多くの方は『亡き女王のためのパヴァーヌ』をイメージするのではないでしょうか?
本作は前衛的な音楽性で現代音楽に多大な影響をもたらした作曲家、モーリス・ラヴェルの名作です。
モーリス・ラヴェルは生前、この楽曲に対する評価を明言してこなかったのですが、晩年になってからはこの楽曲に対する特別な思いを述べています。
そういった背景を知ることで、より一層感動できるので、ぜひチェックしてみてください。
ドゥルシネア姫に心を寄せるドン・キホーテMaurice Ravel

1932〜33年の作。
管弦楽伴奏による声楽曲。
詩はポール・モラン。
もともと「ドン・キホーテ」という映画を制作していた映画プロダクションが劇中歌として作曲を依頼してきたのがきっかけです。
ただ、プロダクションは実は複数の作曲家に依頼していて、最終的に採用されたのはイベールの作品となり、ラヴェル作品は映画で使用されることはありませんでした。
しかしコンサート用作品として、また、ピアノ伴奏版で演奏されるようになりました。
ステファヌ・マラルメの3つの詩Maurice Ravel

木管、ピアノ、弦楽四重奏の伴奏による声楽のための作品。
「ため息」「むなしい願い」「壺の中から一飛びに躍り出た」の3曲から成ります。
19世紀フランスの象徴派詩人の代表格マラルメは、広く音楽家にも影響を与えており「ため息」と「むなしい願い」にはドビュッシーも作曲しています。
マダガスカル島民の歌Maurice Ravel

1925〜26年の作。
作曲を依頼したアメリカ人のクーリッジ夫人からの要望のあった編成を受け入れ、ピアノ、フルート、チェロの伴奏による声楽曲です。
植民地生まれの18世紀の詩人、エヴァリスト・バルニーの詩をラヴェル自ら選んで作曲。
「ナンドアーヴ」「おーい」「休息ーそれは甘く」から成ります。
詩は、異国趣味もさることながら、反植民地支配の思いが込められたものとなっています。
おわりに
ラヴェルの名曲、代表曲をご紹介しました。
細部にまでわたる緻密さと、印象派らしい表現力、その融合による唯一無二の音楽を感じられたでしょうか?
ピアノ独奏曲が管弦楽版に編曲されている作品も多くあるので、ぜひそちらも聴いてみてくださいね。