クラシック音楽の名曲は、テレビや映画、ショッピングモールなどで流れており、日常生活のBGMとして私たちの生活に浸透しています。
「この曲を聴くとなぜか涙が……」と感じていた楽曲が、実はクラシック音楽だったということも多くあります。
今回は、そんなクラシック作品のなかから、「泣けるほど切なく美しい」をテーマに、クラシック史に残る名曲を厳選!
繊細さと大胆さをあわせ持つクラシックならではの奥深い響きを、心ゆくまでお楽しみください。
【名作クラシック】涙が出るほど美しい珠玉の名曲を一挙紹介(1〜10)
弦楽のためのアダージョSamuel Barber

アメリカの作曲家バーバーが作曲した『弦楽四重奏曲 ロ短調 作品11』の第2楽章を弦楽合奏用に編曲したものです。
静かに悲しげなメロディーが始まり、その旋律はまるですすり泣いているかのような印象をけます。
徐々に緊張感が高まり激しく突き上げる悲痛なクライマックスを迎えると、感情が高ぶり切なさがよりいっそう増していきます。
最後はゆっくり消えいるかのように終わります。
終始切ない曲であることから、ジョン・F・ケネディの葬儀でも使用されました。
亡き女王のためのパヴァーヌMaurice Ravel

ピアノ作品の名作『亡き女王のためのパヴァーヌ』。
本作は、前衛的な音楽性で現代音楽に多大な影響をもたらした作曲家、モーリス・ラヴェルさんの名作です。
ラヴェルさんは生前、この楽曲に対する評価を明言してきませんでしたが、晩年になってからはこの楽曲に対する特別な思いを述べています。
そういった背景を知ることで、一層感動できるので、ぜひチェックしてみてください。
弦楽四重奏曲第2番 1楽章Alexander Borodin

叙情美があふれる名曲として知られるこの弦楽四重奏は、恋に落ちたかのような甘美なメロディと儚さが魅力です。
チェロのソロから始まり第1ヴァイオリンへと受け継がれる旋律、各楽器の掛け合いが聴きどころ。
演奏する側にとっても非常にやりがいのある曲といえるでしょう。
1881年7月に着手し9月に完成という異例の速さで書き上げられたこの作品には、愛に満ちた温かな響きが溢れています。
美しい旋律と豊かな表現力を味わいたい方におすすめの一曲です。
弦楽四重奏曲第1番 第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」Pyotr Tchaikovsky

ウクライナの民謡から着想を得た珠玉の名曲です。
弦楽器の調和が生み出す静謐な旋律は、聴く者の心に深い感動を呼び起こします。
恋する若者の想いを優しく包み込むような美しいメロディは、人間の感情の機微を繊細に描き出しています。
ロシアの大文豪トルストイも涙したという逸話が残る本作は、恋愛の不安と希望を見事に表現しており、恋に悩む人々の心に寄り添う楽曲といえるでしょう。
1876年12月の特別音楽会での感動的な演奏は、作曲家本人も生涯の誇りとして日記に記しています。
カノンJohann Pachelbel

パッヘルベルの作品で最も有名な作品の一つです。
パッヘルベルはバロック時代に活躍したドイツの作曲家で、この曲が作曲されてから300年以上がたっていますが、今でも多くの人に愛されています。
「カノン」というのは、『カエルの合唱』のように主題のフレーズを追いかけっこしながら進んでいく曲の様式を指します。
また、パッヘルベルは「黄金コード」と呼ばれる美しい曲を作りやすいコード進行を好み、人々の心をつかむ名曲を残しています。
この曲も、心が洗われるような美しさを持っていますよね。
ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」第2楽章Ludwig van Beethoven

ピアノ・ソナタ第14番「月光」、第23番「熱情」とともにベートーベンの三大ピアノソナタの一つとしても数えられ、ベートーベン自身が標題をつけた数少ない作品の一つでもある『悲愴』。
重々しく情熱的な第1楽章とは打って変わって、第2楽章は切なさの中にも光を感じるよな温かく情緒的な音楽が印象的です。
悲愴を作曲していた頃は、ベートーベンが耳の異変を感じ始めた時期でもありました。
難聴とこの曲の関連はわかってはいませんが、ベートーベンの心の葛藤が表れているのかもしれません。
月の光Claude Debussy

19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの作曲家、クロード・ドビュッシーが手掛けた『ベルガマスク組曲』のなかでも特に知名度の高い1曲。
ポール・ヴェルレーヌの詩にインスパイアされたこの作品は、静寂と美のなかに潜む感情の深さを見事に表現しています。
1900年頃に作曲された本作で、ドビュッシーは革新的な和声法と旋法を用いました。
聴く人の心に深く響く穏やかなメロディに耳を傾けながら、安らぎのひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。